脂肪注入は100年以上前から考案された処置法ですが、本格的な手術法として発達してきたのは2000年代を過ぎてからのことです。それは、術法の改善や研究の成果によるものも大きいですが、しかしながら未だに課題の多い施術法であることは間違いないようです。
メリットと同じくらいデメリットも多いのが現実ですが、これらのデメリットを如何に無くすかをいろいろと対策が練られているわけです。その一つとしては
の密度が多い脂肪を注入することです。吸引した脂肪は脂肪幹細胞の多い脂肪に精製し、幹細胞がのちに分割成熟した脂肪細胞に成長することで吸収された分を補えることを期待する方法です。
そして、注入時にも、脂肪がかたまりとしてでなく、あらゆる皮下の層にばらまかれたかのような注入の仕方も生着率をあげるには必要です。
注入層の具合も生着率に作用します。ゆとりのない張ったような環境において、注入脂肪の生着率が悪くなるので、余裕のあるような疎の部分がより生着しやすいのです。大部分が吸収されることを見越して3倍前後ほどの注入量で行うことがよくありますが、多過ぎると余裕がなくなり、生着率が悪くなり、合併症も出やすくなるので、如何に多めで適量な状態で注入するかがポイントとなります。
シリンジ法を使った本格的な脂肪吸引または小範囲なミニライポで脂肪を確保
不要な成分を排除、幹細胞の多い脂肪に精製
そのまま直接注入するか、小範囲の場合、小シリンジに小分け
脂肪注入はだいたい局所麻酔下で行うことが多く、意識がしっかりした状態で施術し、終わるとそのまま自分で帰宅することができます。ブロック麻酔とよばれる局麻法も行いますので、注入時は楽です。ミニライポ部も我慢できる程度で局所麻酔ですぐ終了しますが、どうしてもという場合もちろん全身麻酔も可能です。
ホホのくぼみ、額やバストなど、いわば大量(数十tから数百t)に自己脂肪が必要とする部分には脂肪注入は意義がありますが、ほうれい線やリップなどの数t程度の箇所はその1ヶ所だけのためにわざわざ脂肪吸引をし脂肪注入するよりは既製品のヒアルロン酸注入をすることが多いです。ヒアルロン酸は数年で100%吸収されますが、脂肪注入は数か月で半減し、不便なところがあるからです。何箇所か同時に行うのであれば、脂肪注入の意味があるでしょう。
ホホの
くぼみは若い時気にならないものですが、ある程度の年齢になると老けた印象を与えます。
ホホ脂肪注入前後
副作用・リスク:むくみが数日〜1週間みられ、内出血の場合は1~2週間かかります
また、ホホのくぼみだけでなく、若々しく見えるため頬骨に膨らみを足したい希望も欧米ではよくあります。ここにも脂肪注入は有効です。日本人はほとんど希望しない処置となります。
ホホ骨部脂肪注入前後
副作用・リスク:むくみが数日〜1週間みられ、内出血の場合は1~2週間かかります
ヒアルロン酸注入もよく行われる部分ですが、だいたい両側で6t前後を要する場合が多いです。脂肪注入ですと、大半が吸収されることを見越して、その3倍くらいの
20t前後が必要となります。想像される通り、ぱんぱんに膨らんだ状態を1~2か月ほど過ごすことになりますが、その分、この治療で終わるか、又はあと一回で十分となるかもしれません。直後からちょうどいいようにすることも可能で、だいたい6t前後の注入量となるわけです。その分3回以上の治療回数が必要となるでしょう。
20tほどの精製脂肪を確保する場合はだいたいミニライポ程度の吸引で間に合います。手のひらサイズの下腹部分が最適です。吸引部の経過等は
ミニライポのページを参考にしてみてください。
脂肪注入は1時間ほどかかる処置となります。
注入は鈍針となっている尖っていないカニューラを使うため,必要以上なはれや内出血は目立たないことが多いです。細いカニューラが使われるため、もみあげのヘアラインあたりで目立たない状態にあります。注入部位は翌日からでも洗浄可能です。
額
額を膨らまし、立体感を得たい場合に行われ、顔の輪郭が気になる最近のデジタル時代の若者には人気です。要はインスタグラムや動画などで自分の顔の立体構造を観る機会が多くなった今の時代ならではのニーズです。
額脂肪注入前後
副作用・リスク:むくみが数日〜1週間みられ、内出血の場合は1~2週間かかります
膨らんだ額はきれいと思われ、目より下の部分を相対的に小さくまたは短く見せる効果があり、そして張り感が出ることで額のシワにもブローリフト(額リフト)のような効果も期待できるところがあります。
額もだいたい両ホホと同じくらいの脂肪注入量が必要です。理想は1回で20t前後、直後ちょうどよい状態であれば6t前後ですね。目立たない針穴は額のヘアラインにあります。1時間ほどの施術時間になります。
経過もホホとほぼ同様で、はれや内出血は普通目立たなく、むくみやすい体質の場合、目周りにはれがみられることもあります。
こめかみ
くぼんだこめかみは老けた印象をを与えます。
コメカミ脂肪注入前後
副作用・リスク:むくみが数日〜1週間みられ、内出血の場合は1~2週間かかります
脂肪注入量としてはだいたい額の半分ほどの量で両側で10t前後必要です。実際に額と一緒に行うことがよくあります。注入カニューラ(鈍針)の数mmの針穴はこめかみヘアラインでつくり、目立ちにくいです。1時間ほどの処置となります。
バスト
バストの脂肪注入は中でも一番脂肪を使う部位となります。ですので、ミニライポだけでは間に合わなく、フルの腹部脂肪吸引や大腿部吸引などで脂肪の確保が必要です。
バスト脂肪注入前後
副作用・リスク:むくみが数日〜1週間みられ、内出血の場合は1~2週間かかります
注入量としてはそれぞれ200ccを目標にし、両側で400ccとなりますが、もちろん体型とバストの状態にもよりますので、400cc前後の量と考えたほうがよいでしょう。バストの状態とは、主に皮膚のゆとりがあるかどうかで生着率が変わることが多いです。元々バストが大きく小さくなって、バスト内の組織に余裕があると、生着しやすいとよく言われています。逆に最初から小さく、皮膚が緩んでいないばすとだと生着率がドーンと下がります。
600cc以上注入するところも多いようですが、多ければよいというわけでもなく、生着できず、うまく排泄されない部分は石灰化の原因になったり、下手すると感染症の原因となったりすることもあるので注意が必要です。
生着率はこういった理由で個人差があり、経験上、20~50%ほどです。日本のカップサイズだとだいたい100ccは1カップアップになりますので、注入した200ccが半減すると計算すれば、1カップほどの効果が得られればよいでしょう。さらに大きくしたい場合は、その都度注入が必要となります。生着した脂肪は永久に残ります。
手の甲
手の甲は正直に年齢を語ることがよくあって、手入れが行き届いている顔に比べ、水洗いや気温といったいろんな要素にさらされ、必要以上に老ける場合が多いです。
手の甲脂肪注入前後
副作用・リスク:むくみが数日〜1週間みられ、内出血の場合は1~2週間かかります
ヒアルロン酸注入もよく行われますが、脂肪注入を行うことも悪くない考え方だと思います。
ホホと同じくらいの注入脂肪量が必要で、20cc前後の注入が適度でしょう。当分腫れていても見せなければみられる部分ではないため、思い切りある程度の量を注入してもいい部位です。
以上の各部位は注入量が多いため、ヒアルロン酸注入よりは脂肪注入の方がよい場合もあり、とくにバストなど、量が多くなればなるほど、脂肪注入は優先されるでしょう。
次に掲げる各部位は1〜数tほどの注入で済む部位のため、ヒアルロン酸注入が優先されることが多いです。数tだとわざわざ脂肪吸引することが不便で、しかも既製品のヒアルロン酸の方が長持ちで経済的だからです。永久的に残ることが脂肪注入の唯一のメリットとなりますが、希望通りの大きさで生着することも難しい場合があります。
ですので、こういった小部位の脂肪注入は何箇所かをまとめて行うか、本格的な脂肪吸引時についでに行うか、という具合に検討することをお勧めします。
上眼瞼
上まぶたのくぼみには両側で2t前後の脂肪を注入が必要です。
上瞼脂肪注入前後
副作用・リスク:むくみが数日〜1週間みられ、内出血の場合は1~2週間かかります
下瞼溝
下瞼溝脂肪注入前後
副作用・リスク:むくみが数日〜1週間みられ、内出血の場合は1~2週間かかります
下まぶたのクマも上まぶたと同様、2t前後の精製脂肪が必要です。まぶたの脂肪の膨らみが見られる場合は、下瞼脱脂術(裏ハムラ法)を参考にしましょう。
鼻唇溝
鼻唇溝、またはほうれい線、には粒子の細かいヒアルロン酸の注入が好まれます。粒の大きい脂肪は皮下組織注入が限界で、皮内(正確には真皮内)注入も必要とされる鼻唇溝には不向きなところがあります。もちろん、シワが深くない例では脂肪注入が活躍する場合があり、4t前後の注入となります.(ヒアルロン酸注入はここを参照)
マリオネットライン
マリオネットライン(口角からさがるシワ)も鼻唇溝同様、細かいヒアルロン酸注入がコントロールしやすく、注入の必要ない部分をさけることが大事なシワであるためです。どうしても脂肪注入したい場合、両側で2t前後と細かく注入しないといけないでしょう。
唇
唇には脂肪注入も行うことがあります。ヒアルロン酸の出現前はよく行なわれていた処置ですが、どうしても既製品の注入剤が便利で長続きすることがありますので、ヒアルロン酸注入が最近主に行われるようになっています。
唇脂肪注入
副作用・リスク:むくみが数日〜1週間みられ、内出血の場合は1~2週間かかります
注入脂肪の半分以下が永久的に残りますが、希望の結果を得るには数回の注入が必要となります。3か月から半年サイクルで行うと希望の大きさに近づきます。ただ、注入の度に、ある程度膨らまさないと大分減ってしまうところが不便です。
もうひとつの脂肪注入の欠点は、注入の都度腹部や大腿部などで脂肪吸引をし、脂肪を確保しないといけないところです。
唇のように数ccほどの少ない量で済む場合はヒアルロン酸が便利です。100%吸収されるが、ある程度の期間で維持できます。
脂肪注入の場合、3t前後が無難でしょう。
アゴ
アゴもまた脂肪注入よりはヒアルロン酸注入の方が適応する部位です。理由は、まず一つ目に、皮膚のゆとりが少なく、注入脂肪が生着する可能性は低いことです。もうひとつは、アゴはマリオネットライン同様、注入すべき部位が狭く限られていて、大量に脂肪を注入すると、周りに波及することが多く、きれいな小さい尖ったアゴになりにくいところがあります。ヒアルロン酸は粒子が細かい分、注入範囲を限定して注入することが可能です。
男性的な幅のあるアゴにしたい場合、または、後述する下顎骨部脂肪注入のついでに行う場合はその限りではありません。だいたい4t前後の脂肪の注入が可能です。
下顎骨部(エラ部)
下顎骨部の脂肪注入は小顔が人気の日本やアジアではほとんど行われない処置です。対して、欧米では存在感をアピールするには下顎骨部のフェイスラインははっきりさせることが重要と思われているようです。
下顎骨部脂肪注入前後
副作用・リスク:むくみが数日〜1週間みられ、内出血の場合は1~2週間かかります
ホホと同量ほどの注入脂肪が必要で、両側で20cc前後の精製脂肪が必要となります。
大陰唇
大陰唇脂肪注入もヒアルロン酸注入と同様で、西洋特有の考え方となり、大陰唇縮小と考える東洋人にはあまり受け入れられないことが多いです。老化や出産などでタルミやゆるみをきたした大陰唇に張りを出す処置となるわけです。
大陰唇の脂肪注入は両側でだいたい6t前後の脂肪が必要となります。ミニライポで十分確保できる脂肪量となります。数t程度を要する部分1ヶ所だけのためにわざわざ脂肪吸引をし脂肪注入するよりは既製品のヒアルロン酸注入をすることが多いです。ヒアルロン酸は数年で100%吸収されますが、脂肪注入は数か月で半減し、不便なところがあるからです。何箇所か同時に行うのであれば、脂肪注入の意味があるでしょう。
注入ヶ所は圧迫や抜糸などは必要ありませんが、ミニライポ(ミニ脂肪吸引)部には必要です。1週間後に抜糸し、数か月下着などで圧迫した方がよいでしょう。
処置費用(税抜)
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税抜 |
税込 |
脂肪注入 |
ホホ両側 |
150000円+ミニライポ費 |
165000円+ミニライポ費 |
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額 |
150000円+ミニライポ費 |
165000円+ミニライポ費 |
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こめかみ両側 |
120000円+ミニライポ費 |
132000円+ミニライポ費 |
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バスト両側 |
200000円+脂肪吸引費 |
220000円+ミニライポ費 |
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手甲両側 |
150000円+ミニライポ費 |
165000円+ミニライポ費 |
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上まぶた両側 |
100000円+ミニライポ費 |
110000円+ミニライポ費 |
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下まぶた両側 |
100000円+ミニライポ費 |
110000円+ミニライポ費 |
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鼻唇溝両側 |
100000円+ミニライポ費 |
110000円+ミニライポ費 |
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マリオネットライン両側 |
100000円+ミニライポ費 |
110000円+ミニライポ費 |
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唇上下 |
100000円+ミニライポ費 |
110000円+ミニライポ費 |
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アゴ |
100000円+ミニライポ費 |
110000円+ミニライポ費 |
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下顎骨部両側 |
130000円+ミニライポ費 |
143000円+ミニライポ費 |
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大陰唇両側 |
120000円+ミニライポ費 |
132000円+ミニライポ費 |
上記費用は脂肪注入1回のみの費用です。
2回目以降は
半額です、
毎回、脂肪吸引やミニライポの費用が加算されます。
脂肪吸引ページを参照。
臀部
臀部の脂肪注入は欧米ではよく行われていましたが、死亡事故が多いため、現在ほとんどのクリニックでは行わないようになっています。死亡率がかなり高く、原因としては、注入脂肪が血管に入り込みやすく、結果として、脂肪塞栓症を起こして、死亡に至る場合があるようです。当クリニックの脂肪注入では、血管に入り込まない構造の鈍針カニューラを使用していますが、臀部脂肪注入の危険度が高いため、当部位の脂肪注入は行っていません。