プチ隆鼻の定番と言えばヒアルロン酸などの注入剤が定番でしたが、最近、糸による方法に変わりつつあります。
昔から隆鼻術は、効果が分かりやすいため、よく行われ、目の美容処置と並んで人気のある美容ケアです。しかしながら本格的な手術を受けたいという方も多い一方、まずプチ整形でできればそれでしたいという方も多いことは事実です。
パーティーなどの大事なイベント前にどうしても間に合わせたいときに便利です。
最初は、戦後間もない日本において、
注入用シリコンや
パラフィンなどの注入が始まり、その後シワ用に出現した
コラーゲンにかわり、
ヒアルロン酸、そして
レディエッセといった注入剤になったのですが、とくにレディエッセは最近までよく行われていました。
そういう歴史を踏まえて、どうして今、糸による方法になったのか、今後プチ隆鼻術がどいう方向に向かうのか考察を混ぜながら述べていきたいと思います。
それぞれのプチ隆鼻法を羅列しながらその出現と消退の理由を述べていくと:
1.
シリコンジェルやパラフィンなどによる注入法 昔から現代に至って隆鼻の手術法でよく使われているシリコンプロテーゼからヒントを得てシリコンジェルの注入が隆鼻の簡便法として出現し、その後、パラフィンなどの他の
非吸収性の
永久注入剤が使われました。
永久性があるものが最初から求められてきたのが明白ですが、しかしこれが問題であり、また今後の課題でもあるのです。
人体の
防御反応は巧く出来ている、というのがこのことでよく分かります。
もともと身体の構成成分ではないものが注入されると、体は拒絶することがよくあり、外に出そうとしていろんな反応を起こして、美容と全く反対の方向に向かうことがあります。
拒絶反応による長期的な炎症で
肉芽腫(炎症による腫瘤)を起こし、その硬結で肌の
凹凸の原因となり、最悪に場合
化膿し、皮膚表面から穴を作って
露出することがあります。
長年にわたり起こる現象のため。3−40年前に注入したものが今となって問題を起こしたりすることもあります。
永久的な注入剤による肉芽腫
2.
コラーゲン・ヒアルロン酸・レディエッセによる注入法 非吸収性で永久的な素材に問題があるため、その後、もともと人体の構成成分である素材が使われるようになりました。シワ注入に多用されていた
コラーゲンが使われましたが、吸収が速いということで、比較的長くもつ
ヒアルロン酸に変わります。
コラーゲン ヒアルロン酸
両者ともやわらかいため、隆鼻にはあまり効果が発揮できない注入剤でした。
その後、さらに長期的で固めの成分からなる
レディエッセ(骨成分注入剤)に移行します。
レディエッセ
これがつい最近までのプチ隆鼻術の主流でした。
ところが問題がまた発生。レディエッセをはじめ、注入剤は血管に入りやすく、鼻の組織ダメージ。ひいては目にまで及ぶことがあることが分かり、最近敬遠されるようになりました。
カニューラとよばれる鈍針を使えば血管に入るおそれはなくなりますが、やはり注入剤はやわらかいせいでその効き目はいまいちといった感があります。
とくに厚ぼったい皮膚の場合はあまりその効果が現れず、多めに注入すると、まわりに波及し余計ダンゴ鼻に見える場合があるので、鼻先の注入には注意が必要です。
皮膚の薄い(皮下脂肪が少ない)場合だと効果が出しやすいでしょう。
注入剤の効果はほぼ1年弱となります。
3.
Y-ko糸プチ隆鼻 ある程度の硬さがある固形の素材で、簡単な針穴で挿入でき、しかも血管に刺さらない方法として出てきたのがこの糸による方法です。
鼻背用Y-ko糸
糸リフトなどに使われる
吸収糸が鼻を高くできることが分かり、固形でスパイラル状に並ぶ細かい突起により、鼻の付け根(鼻根部)から鼻背にかけてヒアルロン酸などのジェル剤よりも隆起させる固定力と保持力が見られます。
鼻背Y-ko前 鼻背Y-ko後
部分的に挿入することもでき、ハンプ(鼻骨隆起)を修正することもできます。
注入剤と違って、鼻先にも使うことができます。
鼻先用Y-ko
鼻先がリフトされ、細さが出ることでダンゴ鼻が解消できるのがこのY-ko糸です。
ダウンタイム(回復期間)がほとんどなくヒアルロン酸などの注入剤のような手軽さででき、ヒアルロン酸よりは長持ちです。
安心な
吸収糸でできているため半年内で糸が吸収されますが、コラーゲン再生が刺激されることにより効果がある程度持続すると言われています。
1-2年ほどの効果持続となります。
ハンプ(鼻骨隆起)などで相対的に下がってダンゴ鼻っぽくみえる鼻先に使用すると、鼻先が上がりきれいなスラリ鼻に見せることもできます。
具体的な方法としては、既製品の
カニューラ針(鈍針)と糸のセットで直接鼻先に数本を鼻橋(鼻先と人中をつなぐ部分)に直接挿入し、鼻先の針穴でつります。もちろんヒアルロン酸注入と同様、局部麻酔下で,数分ほどで完了です。
以上がプチ隆鼻の最近お進展となりますが、やはり効き目の持続性がまだ気になるところです。
シリコンプロテーゼにかなわないところはありますが、手術が苦手な方やお急ぎの方には妥当な方法となるのではないでしょうか。
非吸収糸を使えばよいのでは、と反論されたいところもあるでしょうが、糸フェ―スリフトにおいていかに非吸収糸が使えにくいかが立証ずみです。
化膿したり、露出したり、といった問題がでてきます。
特に鼻の皮膚は炎症に敏感なため気を付けないといけない部位です。
やはり簡単でそしてさらなる持続性のある素材が今後の課題となるでしょう。
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