題名がふざけているような感じとなりましたが、
美容医療にとって、
ボトックスの発見ほど
偉大な発見はない、と言っても過言ではないでしょう。
美容において最初は
シワの治療がメインの用途でしたが、今では
いろんな治療に使われ、これからもその
利用法が増えてゆくかもしれないある意味の
万能薬です。
ここで
ボトックスにどういった
利用法があるかを羅列しながら、ボトックスのさらなる
詳細を述べていきたいと思います。
1.
不随意運動治療 脳性麻痺に見られる
手足の
攣縮や
顔面・瞼の
痙攣などの
不随意運動の治療に使われるのが
当初の
ボトックスの利用法でした。
実際にボトックスが治療で初めて使われたのも
美容でなく、目の筋肉の病気です。
米眼科医スコット医師
1980年、
アメリカの
眼科医、
スコット医師が
はじめて医療用としてボトックスを
斜視治療に使い、
筋肉の収縮運動を和らげることにより、症状を低減させたわけです。
治療後目の症状が和らいだと同時に、
目まわりのシワがなくなった、と患者に喜ばれ、それを機に、ボトックスは他の筋肉の疾患に使われるようになるとともに、
美容医療にも応用されることとなり、
1989年ころから
爆発的に使用者が
増えていきます。
2.
シワ治療 筋肉の緊張状態をリラックスさせることがボトックスの作用の仕方なので、皮膚にその緊張状態が表れやすい顔の
表情筋が格好の
ターゲットとなるわけです。
とくに
目まわりの
表情ジワである
額の横ジワ、眉間のしかめジワ、そして
目尻の笑いジワはボトックス注入の
3点セットと言われるくらい、ボトックスが主に使われる部位です。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
この
3点セットは、最初は美容的に気になるどころか、表情が豊かと思わせるほど美容的にプラス方向に働く顔の特徴ではありますが、年毎徐々に
深くなると、いろんな印象を与え、自分だけでなく他人にも
不快感を与えかねない状況を作ることさえあります。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
この3点以外に、顔のあらゆるシワ、具体的に
上下口唇のたてジワ、鼻背のしかめジワ、あごの梅干しジワなどがボトックスの対象となります。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
ガミースマイルにも有効な治療法となっていて、歯茎が目立つ笑い表情にも効果的です。
これらの
シワの処置だけでもボトックスの
世界の
美容医療におけるシェアは
断トツ1位と言われており、2014年で全世界で
年およそ
2000億円相当の治療が行われ、
2018年でおよそ倍の
4000億円になる見通しで、年約8000億円を売り上げる最も求められているリウマチや糖尿病の薬剤に迫る勢いです。
ほうれい線とマリオネットライン(口角から下がるシワ)は筋肉による表情というより主に構造的なシワなので、ボトックスよりは
ヒアルロン酸などのフィラー(注入剤)が最適です。こういったシワにボトックスを使うと、口唇の表情にまで影響を与え、思わしくない口唇の形が出現することがあります。
ヒアルロン酸注入前 ヒアルロン酸注入後
ボトックスの具体的な
注入法としては、例えば
額ですと、、
3〜5単位(ボトックス注入量の単位は単位又はユニットと言う)ずつを
5か所以上に注入し、
前頭筋とよばれる額の筋肉の表面をめがけて注入します。
額ボトックス注入位置
3.
多汗症治療 シワ以外で
ボトックスがよく利用される治療の一つが
制汗処置です。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
ワキ下をはじめ、
手のひらや足のうらなどがよく行われる部位で、
額の汗やその他の身体部位にも注入は可能です。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
汗腺からの汗の分泌に作用する
毛穴の近くにある
立毛筋がボトックスのターゲット筋となるわけで、シワをつくるしっかりした筋肉と違って皮内に存在する
細かい筋であるため、ボトックスの
皮内注入が行われます。
汗腺と立毛筋
ボトックスの効果は注入直後には現れず、早くて
2,3日後、遅くて7日後、2週間で完成されます。
MEDJETによるボトックス注入
制汗治療のボトックス注入には
メドジェット(非注射性の注入機器)が
便利です。
ジェット水流でボトックスを皮内に噴射することにより、痛みがほとんどなく治療が受けられます。
4.筋肥大治療 小顔効果やその他の目立つ筋肉にもボトックスは活躍します。
エラ(咬筋)やふくらはぎがよく使われる部位です。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
これらの筋肉の緊張をやわらげることによりそれらの怒張した状態が縮小し、それらの部分が小さくなってみえる効果です。
エラ(咬筋)の縮小治療に関しては、歯ぎしりを減らす効果も期待できます。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
ボトックスの効果はだいたい3〜8か月ほど持続することになっており、個人差が見られます。この差はもちろん各個人の筋肉の大きさと活動性に由来するところもあるでしょう。
それぞれの栄養状態にも関係があるとも言われており、マグネシウムをはじめとするミネラルの摂取状況が良ければよいほど、ボトックスの持続効果が長いという報告がありました。
ボトックスが筋肉内で反応するときに、ミネラルの触媒作用が必要と思われているからです。
注入の2週間前からミネラルをしっかり摂取すれば、長い効果に期待できると言われています。
ここまでは今のところのボトックスの基本的な使い方となっています。
つづいてはたまにしか行われないボトックスの応用方法ですが、これからも基本的に行われるようになるかもしれません。
5.
毛穴改善治療 制汗作用もあれば、
’制脂’作用もボトックスに期待できると言われています。
汗と同じ
毛穴から分泌される
皮脂は
毛穴をふさぐことがあり、
開いた状態に見えたり、
ニキビの原因にもなったりするわけです。
ボトックスが皮脂分泌を抑えることで、これらの問題が解決でき、
美肌効果が得られます。
開いた毛穴
マイクロボトックスという歌い文句で最近美容外科のホームページでよく見かけるかと思いますが、かなり皮膚の浅い層でボトックスを万遍なく注入することにより、毛穴ケアする上で皮膚近くの表情筋にも多少の効果が期待できることから
マイクロボトックスリフトとも言われたりすることもあります。
頬毛穴ケア前 頬毛穴ケア後
頬をはじめ、
額、
首まで治療可能です。
6.首タイトニング治療 先述べたマイクロボトックスリフトにもつながりますが、やや深めにボトックスを注射すれば、とくに首真ん中あたりの広頚筋(首にある幕様な筋肉)のつくる七面鳥様な筋肉のタルミの改善や首の横シワの改善にも効果を出せます。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
7.鼻美容治療 小鼻縮小や鼻先挙上の効果も期待できます。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
小鼻にある鼻孔開大筋をボトックスで抑えると小鼻の張る度合が減り、スマートな小鼻になります。鼻先を引き下げ、ワシ鼻様にに働く筋は鼻中隔下制筋とよばれ、この筋肉をボトックスで緩めると鼻先が解放され鼻先のリフトアップ効果が期待できます。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
8.アゴ美容治療 アゴを引き上げる筋肉が機能し過ぎて力を入れると凹凸のシワが出現しアゴ先が引き上げられ尖った感じが得られなくなるときにボトックスで筋を弛緩させると、アゴ先のシワは消え、自然とシャープに見えることになります。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
9.口角美容治療 口角下制筋とよばれる筋はアゴに位置し口角を下げる働きをします。この筋をボトックスで緩めると上がった感じの口角が得られ、好印象を与える効果を発揮します。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
10.僧帽筋緊張治療 僧帽筋の緊張で肩の張りを感じる方も多いですが、ボトックスでこの筋の緊張を和らげると肩こり治療・予防となり、女性的な見栄えも得られます。
ボトックス注入前 ボトックス注入後
11.花粉症治療 花粉症などのときに鼻腔内粘膜にボトックスを垂らすと鼻水の分泌を抑える効果もあるようです。
12.抑うつ効果 最近の報告ですが、シワ対策にボトックスを使用していると、うつ病患者はうつ病の症状の改善が見られるようです。
以上が最近行われているボトックスの利用法でしたが、書き抜けた治療もあったり、また新しいボトックスの効果も報告されるかもしれません。
ちなみに馴染みのあるボトックスという名前は薬品名となっていて、この治療薬の一般名はボツリヌストキシンとよびます。
アラガン社ボトックス
ボトックス以外の商品名として10前後ほどあり、米国FDAに認可されている商品としてボトックス以外にディスポートというブランドがあり、ボトックス同様よく使われているものとなっています。
イプセン社ディスポート
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